2008年7月8日火曜日

vol.4 うめはらなかせの“選曲眼“(後)


第4回「うめはらなかせの選曲の秘密」の最終回です。

とにかく選曲の基準は、ギター一本で伴奏できて、ハモれるかどうか。もうひとつは、他の人があんまり取り上げてないかどうか。

 そこが難しい。皆が知ってるけど、皆が歌ってない曲を探す。

サイモン&ガーファンクルの「ペギー・O」もベッツィ&クリスの「僕の中の君」も、条件的にはええんですけど、コピーしようと思うと、ぼくらは男女のデュオですから、声の高さの差が必然的にネックになります。ちょうどええ具合にハモれて、ギターのおいしいフレーズが挟み込めるキーを探すのが難しいんです。ここまで上げたら楽に声は出せるけど、ギターのプレイコードを変えんと演奏できひんとか。

な あまり低い声で歌うと聴こえんようになりますし、音程もとりにくい。上げすぎるとキンキンするし。

 ただし、なかせさんは音域が広いし、ぼくは比較的高い声が出るので、それで選択肢も広いのかもしれません。

 うめはらさん、一年前から比べたらどんどん声が出てきてますね。お互い家で歌ってたときは、思いっきり声を出せませんでしたもんね。

 ていうか、ぼくはほとんど歌ってませんでしたねえ。歌を忘れたカナリアですわ。なかせさんは、ず~~~と歌うたはりますよね。歌を忘れんカバリアや。

 バシッ!

 おもしろないわ。

 ま、「水曜日」なんか、S&Gと同じキーで歌ってますもんね。ぼくがサイモン、なかせさんがガーファンクルで。ところが、この曲、メロディとハモが途中で反転するんですよねえ。高音のガーファンクルが低音になる。

 この声の入れ替わりがおもしろい。

 で、そのまんまやるとなかせさんには低すぎるので、パートを固定して、高い声はなかせさん担当、低い声はうめはら担当でやってみたけど、やっぱり原曲どおり反転するほうがきれいでした。さすがS&G、すごく考えながらハーモニーをつくってますね。

 あっち歌ったり、こっち歌ったり、いろいろ試行錯誤やりましたね。

 というように、やってみたい曲も実際に歌ってみると、なかなかうまくハモれないってことは日常茶飯事でした。

 一回歌ってみて、こらあかんなあってのもありましたね。練って、練って、結局棚上げになってる曲もありますしね。でも、いつかなんとかしたいです。

 ま、結局のところ歌もギターも大したことないし、ギター1本でボーカル2つでは単調になりがちです。せめて選曲でなりと特徴を出さんとねえ。

 そうです。関西人の心意気みたいなもんで、お客さんのウケを狙いたい選曲もありますしね。

The water is wide」をやるバンドはあっても、ザ・ピーナッツの「ふりむかないで」をいっしょにやるバンドはあんまりないでしょう。

「かねてっちゃん」もんね。

 ぼくが感心したのは、なかせさんの「なんでも歌いたい」というストライクゾーンの広さです。ユーミンも、小椋佳も、いややて言わはりませんもん。そういう意味では、ぼくのほうが好き嫌いは激しいです。ただ、好みのメロディーやなくても、ギターで工夫できるんやったら、やる気になるんですけど。いかんせん、弾けるパターンが限られてて。

 私の場合は、歌詞に好き嫌いがありますけどね。でも、流行歌いうのは、そのとき意識してなくても、後になって心に沁みてくるものもあります。流行したってことは、その歌で明るい気持ちになったり、慰められたりした人がいるてことでしょ。そういう曲を歌えるだけでありがたいです。

 マドンナとかダニエル・ビダルとか西田ひかるとか、ふつうは「いえいえ、私はそんな器やあらしません」とかいうて遠慮するでしょ。

バシッ!

 「オー・シャンゼリゼ」は、MCで私のことをダニエル・ビアダルと呼びたいがためだけの選曲やと言うことは、すぐに察しがつきました。ほんま腹立つ~~~、今度は蹴りや!

バスッ!

バスッ!

バスッ!

う ぅおおおお~、キク~~~ゥ。あと、うめはらなかせ選曲史のターニングポイントといえばクイーンの「We are the champions」ですかね。

 これねえ。歌えましたねえ。歌ってたらチャンピオンて気になりますやん。「みんな~、私らチャンピオンえ~!」て、京都弁でおかしいけど、呼びかけてる気がしますもん。

 これで、元気のいいロックもできそうな気がしてきました。

 ほんまにロックのギターご苦労さんですね。

 ちゅうことで、うめはらなかせの選曲の秘密は、やれそうな曲を探してるうちにこうなりましたってだけでしたかね。

 ほんとにやりたい曲が次々とでてきて、私のiPodにはたくさんの曲が待機中です。スタジオお借りしてるカトチャンがそれを見て、マッサージの低周波治療器ですか? て言わはりましたけど、ほんまにそういう歳ですもんねえ。

 なかせさんは、ね。

バシッ!

バシッ!

バシッ!

バシッ!

バシッ!

 お前もおんなじじゃ~~~~~~~い!!

 てことで、次は初ライブについて。



つづく